家庭裁判所による遺言書の検認

 

遺言書の様式は

  • 自筆証書遺言書
  • 秘密証書遺言書
  • 公正証書遺言書

などがありますが、遺言書は被相続人(故人)人生最後の思いの表明であり、相続はその意思に沿って進めなければなりません。

 

遺言書には法定相続の割合とは異なる相続の考えが記されているかもしれません。

また、法定相続人以外の人へ遺贈する考えが記されているかもしれません。

 

従って、遺言書が遺されていないか調べる必要があります。

  • 自筆証書遺言書が自宅などに保管されていないか、どなたかに託されていないか、自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局に保管されていないか(相続人等は最寄りの法務局で保管の有無を確認できます。)を確認します。
  • 公正証書遺言書の正本や謄本が自宅などに保管されていないか、どなたかに託されていないか(原本は公証役場に保管されておりますので相続人等は最寄りの公証役場で公正証書遺言書の有無を検索できます。)を確認します。

なお、自筆証書遺言書や秘密証書遺言書があった場合、開封前に家庭裁判所※検認を受けなければ罰せられますので注意が必要です。(ただし、遺言書保管所に預けられた自筆証書遺言書は検認不要です。)

 

また、遺言書調査で

  • 遺言書があり、※遺言執行者が指定されていれば、その方が遺言内容の実現のために相続手続きを進めることになります。
  • 遺言書があり、遺言執行者の指定がなければ、相続人代表者を中心に遺言内容の実現のための相続手続きを進めて行くことになります。

遺言書がなければ、遺産は法定相続人(相続人の資格を持つ親族)が相続することになります。 

 

※「検認」とは、家庭裁判所が相続人に対し遺言書の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きであり、遺言書の有効・無効の判断をする手続きではありません。

検認は遺言書を保管していた人や見つけた人が、相続人とともに遺言者の最後の住所地の家庭裁判所へ遺言書の開封と内容確認を請求しなければなりません。(民法第1004条)

なお、検認を怠り開封すると5万円以下の過料が科せられことがあります。また、検認のない遺言書は相続登記の手続きや故人の預貯金の引き落とし、解約ができないことになっています。